難波津に咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと咲くやこの花
理念
丁稚の一切れから、旦那衆の菓子折りまで。
此花堂の菓子は、家のおやつである前に、商いの道具でした。手土産ひとつで話が早うなる。詫びがひとつ、丸くおさまる。船場の問屋街で百四十一年、商いの間に置かれ続けた店です。
始末・才覚・算用。船場商人の心得を菓子屋の流儀に直して、いまも守っています。餡は炊いた分だけ使い切る。味は守って、姿は時代に合わせる。値段の理由を言える菓子だけを売る。
沿革
0年創業
0年商いの歳月
0代当代 若旦那
明治十八年(1885)
難波津に、咲くやこの花
初代が船場の問屋街の一角に、一坪の菓子床を出す。切り売りの丁稚羊羹が評判となり、小遣いで一切れ買うた丁稚たちが、番頭になり、旦那になっても暖簾をくぐった。
昭和二十年(1945)
冬ごもり
空襲で店は焼けた。蔵に残ったのは、餡炊きの銅鍋がひとつ。翌年、その鍋で餡を炊き直すところから、二度目の商いが始まった。
平成
長い冬
問屋街の灯が減り、届け先の社名がひとつ、またひとつと看板から消えた。それでも、商談の菓子折りだけは絶やさなかった。
令和
今は春べと
五代目の若旦那が暖簾を継ぐ。先代と喧嘩しながら包みと届け方を改め、味と製法はそのまま残した。曰く、「味は変えん、届け方を変える」
仕事
一
選る
小豆は、その日ごとに顔が違います。炊く前に手でより分け、火の通りをそろえる。派手さのない仕事ほど、味に出ます。
二
炊く
昭和二十一年から使い継ぐ銅鍋で、六時間。火の番は代々、当主の仕事です。焦がしたら、その日の餡は捨てる。それが始末の裏側にある覚悟です。
三
成す
型は使い込んだ木型。羊羹の角は、きりっと立てます。角が立つのは、菓子だけでよろしい。
四
仕立てる
折箱に納め、のしを掛けて、商いの席へ送り出します。掛け紙の文言は、ご用途に合わせてあつらえます。
出世羊羹の指南
丁稚
一竿 ¥880(税込)
- こんな時に
- 部署への日々の差し入れに。自分の午後三時にも。
- 中身
- 北海道産小豆のこし餡。切り分け六片。
迷ったらこれ
番頭
一竿 ¥1,650(税込)
- こんな時に
- 昇進のご挨拶、世話になった上司へ。
- 中身
- 小豆を吟味し、餡をひと晩深炊き。化粧箱入り。
旦那さん
一竿 ¥3,300(税込)
- こんな時に
- ここ一番の商談、年始のご挨拶に。
- 中身
- 丹波大納言。金箔の梅を一片あしらい、桐箱入り。
渡す相手の顔を思い浮かべて、お選びください。迷ったら番頭が無難だす。
御用達
- 高麗橋計器
- 今橋製函所
- 木津川運輸
- 船場口硝子
- 浪華活版舎
- 瓦町薬粧
※お取引先名はすべて架空です
商談の日は、まず此花堂に寄る。それがうちの段取りです。
先方の会長が丁稚あがりでね。旦那さんを提げて行ったら、話が早かった。
店舗